
映画「ホウセンカ」には、手入れが止まったままの空き地が登場する。
草が伸び放題だが、物語にとって大事な場所だ。
その空き地を眺めているうちに、僕にも似たような、扱いに困った場所があることを思い出した。
契約したまま静かに眠っているサーバーと劇団立ち上げのために取得した『リウジは悪くない』というドメイン。
『リウジは悪くない』は、もともと僕が主演で脚本を担当した自主映画作品のタイトルだった。
上京後、それがきっかけで、同名の演劇ユニットを立ち上げたが、定期公演するほどの力(気概)はなく、このサイトを残したまま、活動は途絶えている。
言うなれば、空き地の真ん中に、表札だけが立っているような状態だ。
使わなくても困らない。
誰にも迷惑はかからないし、放置しても何かが壊れるわけでもない。
ただ、空き地のようにぽつんと残ったそれらを見ていると、「このまま寝かせておくのは、ちょっと勿体ないな」と思う。
持っているだけで維持費だけがかかっていく土地のように、そこに手を入れずにいるのは、やっぱり惜しい。
せっかくなら、面白いことに使いたい。
けれど、そんなものは何も思いつかず、ただ無理やりサイトを始めた。
以前は複数の人間と共同で運営したり、友人から提供された歌詞に曲をつけたりしながら、サイトの使い道を模索したが、残っているのは自分の好きな音楽を紹介することぐらいだ。
大きな目的があるわけではなく、そのとき心に残っていた曲をそっと置いていく。
それだけのゆるい更新だ。
そもそも僕は、SNSのような流れていく場所があまり得意ではない。
かといって、何も発信しないでいたいわけでもない。
少しだけ外に向けて開いている場所は欲しい。
そう考えると、フローよりストックのほうが合っている。
急いで投稿しなくていいし、置きたいものだけ置いておけば、それで形になる。
“リウジは悪くない”というこのサイトは、たぶん、そういう場所なのだと思う。
空き地の真ん中に表札だけが立っているような、役割を決めすぎない場所。
きちんと整えなくてもいいし、誰かを呼び込む必要もない。
ふと思いついた何かを置きたくなったら、またそのとき手を伸ばせばいい。
空き地は手を入れすぎると、もう空き地ではなくなる。
名前だけ残ったこのサイトも、しばらくはこのままでいい。
風が通るのを眺めながら、そっと置きたいものを置いていく。
そういう距離感で続けていきたい。