
僕が普段、生活する上で1番気にかけていることは何かと聞かれたら、迷わず「呼吸と姿勢」と答える。
ただし、誤解してほしくないのは、僕の姿勢がいいわけでも、常に深呼吸を意識して生きているわけでもない。これは「健康のため」や「正しさ」の話ではなく、心が乱れたとき、必ず立ち戻る場所の話。
きっかけは、マインドフルネスを始めたことだった。
呼吸に意識を向け、今この瞬間に集中する。過去でも未来でもなく、ただ「今」に留まる。それだけで頭の中が驚くほど静かになる。やっていくうちに気づいたのは、マインドフルネスには特別な作法や長い時間は必要ないこと。コツを掴んでからは、電車の中でも、作業中に集中が切れた瞬間でもできてしまう。1分あれば十分だ。
それ以来、呼吸に意識を向けることは僕にとって思考を整えるためのスイッチのようなもの。
姿勢を正すことも同じで、集中力が落ちると、決まって猫背になっているが、そんな時は、すぐに姿勢を正すことで、思考も一緒に立ち上がる感覚がある。
呼吸も姿勢も、普段は無意識に行っているものだからこそ、そこに意識を向けると「戻ってきた」という感覚が生まれる。
日頃からこんなことを考えていると、変な人、大変な人だと思われるかもしれないが、集中を高めるためにも必要な習慣だと思うし、没入できたときの気持ちよさを知ってしまうと、そこを目指さずにはいられない。
呼吸に集中するとき、体の中に酸素が行き渡り、血液や内臓が動き出すイメージをする。驚くほどシンプルで、だからこそ複雑な思考から解放される。
シングルタスクで、一つずつ順序よく終わらせるほうが、結果的に効率もいいというもの、誰かの本で学んだことだ。
いずれにしても、僕が呼吸と姿勢を大事にするのは、意識が乱れて別の思考をしてしまう時に元に戻すための行為であって、それも全てはダラダラしたくないからやっていること。無駄な時間を過ごしたくないのは、別に生き急いているわけではない。
どんなに忙しくても定時に寝たいし、暇な日でも同じリズムで作業を積み重ねたい。呼吸と姿勢は、そのための基準線だ。
今日もまた、そこに戻りながら、作品を一つずつ積み上げていく。