もう一度、アルバム音楽と向き合ってみる。

もう一度、アルバム音楽と向き合ってみる。

2024年5月2日 Prize/ART LINDSAY

まずは、思い出深い一枚から。千葉富士見のバーで働いていた時に勧められた曲。このお店で音楽の面白さを教えてもらったと言っても過言ではない。アートリンゼイの曲の特徴でもある独特な脱力感は、当時の僕には新しく、ボサノヴァでもないメランコリックな世界観がちょっとだけ僕を大人にさせてくれた。“Ondina”は1曲目で、印象に残っている曲。“Interior Life”の曲は、日常の喧騒を感じさせる点がとても良かった。クリーニング屋から漏れる蒸気を思い浮かべながら聴いた。ベースがgroovyで好みだ。洒落た街角を感じるような、ちょっと古めの自転車を乗り回して街を徘徊している気分になれる。“E Ai Esqueco”では、ピアノとヴォーカルがメインで、モヤが掛かったような、切ない雰囲気の曲だった。

2024年5月3日 夢中夢/Cornelius

Corneliusらしいアルバム。1曲目に入っている“変わる消える”は、僕の人生の名曲リストに入れているほど素晴らしい曲だ。今でもトップアーティストでいられることに感嘆する。“蜃気楼”も普段からよく聴いている曲。僕はCorneliusの曲の中でもアート過ぎない曲が好きなんだと思う。このぐらいが丁度いい。歳を重ねるにつれて音楽の聴き方が変わり、遠ざかりつつあったが、特定の曲にはまだ引き込まれることを実感した。

2024年5月4日 Beaucoup Fish/Underworld

僕の中でUnderworldといったら「everything everything everything」なのだけど、遡る形でこのアルバムに辿り着いた。これも千葉富士見のバーで聴いていたアルバム。一曲目、“Cups”の音にストーリーがあって、オシャレな地底に来た感じがして好き。長尺だけど、後半から“Push Upstairs”の繋がりが◎。“Shudder/King Of Snake”を久々に聴いたがメチャ良かった。“Bruce Lee”アルバムの中では異色の曲。アルバム全体はスペーシーな曲想だけど、この曲はインダストリアルに寄っていて、印象に残った。“Kittens”、鬼格好良い。“Moaner”ふとDJ Kagamiを思い出した。時代を感じた。

2024年5月5日 RADIO COLLECTIVE/LITTLE CREATURES

昔、Double Famousに夢中になっていたころ、偶然たどり着いたのがLITTLE CREATURESだった。通常なら先にこちらを聴いているはずだが、不思議なもので、音楽の出会いに順序はない。アルバムから流れる“what i should get”は、ボサノヴァのリズムを帯びた、どこか懐かしさを感じさせる曲。気怠い雰囲気が漂い、心地よい疲れを誘う。そんな彼らの音楽を久しぶりに耳にすると、改めてその深さに気づかされる。眠っていた名曲たちは、長い時を経てもその輝きを失っていない。何度聴いても新しい発見がある。

2024年5月6日 YELLOW DANCER/星野源

2015年の星野源の4作目のアルバムを今更ながら聴いてみた。以前はSAKE ROCKがお気に入りで、ソロ活動は追い掛けていなかったけど、この企画で改めて触れるみることにした。アルバムは“時よ”で幕を開ける。この曲はまさに星野源の真骨頂。あの“恋”を彷彿させるメロディーが心地よい。“WEEKEND”は、どこかで耳にしたことのあるような……。思わず洋楽のどの曲だったかを考えてしまう。でも、その曲自体がすでに印象に残っているから、この既視感もまた楽しい。

アルバムを通して聴いた感想としては、やはり「SUN」の楽曲が際立っていた。星野源の音楽世界に改めて足を踏み入れたわけだが、やっぱり彼の音楽は多面的で奥深い。SAKE ROCK時代のファンでも楽しめる要素がたくさんある。

2024年5月7日 Attune/Detune/MONDO GROSSO

MONDO GROSSOという名前を聞くだけで、どこか懐かしい風が吹く。アシッドジャズが日本中を席巻していた時代から、その音楽に魅了されている。最近は様々なアーティストとのコラボレーションが目立ち、それぞれの楽曲にMONDO GROSSO独自のフィルターがかかっているのが素敵。特にBIG-Oとの一曲目は、胸が熱くなるような仕上がりで、聴くたびに心が動かされる。アルバム通じて感じたことは、“やくしまるえつこ”が参加すると、なんでも“相対性理論”になる。それだけ歌声に癖があるということだろう。それぞれのアーティストが持つ色が混じり合い、一つの作品として完全に昇華している。音楽の可能性を改めて感じさせてくれるアルバムだった。

2024年5月8日 コーダ あいのうた/Various Artists

「コーダ あいのうた」のサウンドトラックを聴くたびに、映画のシーンが頭の中で再生される。そして、涙が流れる。それほどまでに作品と音楽が密接に結びついている。クライマックスで流れるエミリア・ジョーンズの“Both Sides Now”をはじめ、マービン・ゲイとタミー・テレルの“You’re All I Need To Get By”は、まさに名曲中の名曲。その曲が流れる瞬間は、映画の感動がよみがえり、胸がいっぱいに。また、ザ・クラッシュの曲があるのでアルバムとしての総合点が高い。