昔から聴いていたアルバムから、そうでないもの。

昔から聴いていたアルバムから、そうでないもの。

2024/5/9 Another Beginning/Anan Ryoko

Anan Ryokoによる初アルバムは、9-Statesの中村太陽氏に勧められて聴いたのがキッカケだった。このアルバムは美しく繊細なピアノ演奏を前面に押し出しつつも、キャッチーなハウスビートで肩肘を張らずに音楽を楽しむことができる。クラブ・ジャズはもちろん、クロスオーバーの要素を取り入れており、この作品を一層意欲的なものにしている。特に注目すべきは「All Day, All Night, Always」。ボーカリスト“AK”を迎えたこの楽曲は、切なさを帯びたハウスチューンとして胸を打つ。彼女の才能は、卓越したピアニストとしてだけでなく、優れたソングライターとして、リスナーに深い印象を残している。

2024/5/10 MYTH/Black petrol

僕はこの手の音楽を“生音ヒップホップ”と呼んでいる。ジャンル楽器を駆使した演奏とブレイクビーツを組み合わせてラップするスタイルは、従来の後ろでDJがレコード擦っている音楽とは一線を画す。生音ヒップホップが好きになったのはザ・ハローワークスのライブだった。「TABU」、「astral pumpkin」、「Regrettion」といったアルバムは、その魅力を存分に体現している。それぞれのアルバムが、このユニークなヒップホップスタイルを色濃く反映しており、聴く者に強烈な印象と高揚感を与えることだろう。それぞれの作品が織りなすリズミカルで生き生きとした音楽は、聴く者の心を揺さぶり、熱狂させるに違いない。

2024/5/11 Be Good/GREGORY PORTER

グレゴリー・ポーターは僕がたまに聴くアーティスト。アメリカンフットボールの選手から音楽の道へと大きく転身した彼の背景には、逆境を乗り越えた強さと、芸術への深い情熱が感じられる。また、彼のトレードマークである帽子は、もともとは医療目的で身につけることが始まったらしいが、今では個性的なスタイルの一部として周囲から親しまれているそうだ。

2024/5/12 ings the Blues/Nina Simone

西千葉でバーを経営していた頃、地元の重鎮、トミーさんに教わりニーナ・シモンの音楽と初めて出会う。その瞬間から彼女の楽曲は深い思い出として心に刻まれた。男性の声と錯覚するほどの力強い表現が、ニーナの音楽の初体験をより印象深いものにした。昨日耳にしたグレゴリー・ポーターの曲も素晴らしいが、改めてニーナ・シモンの音楽の凄みを感じさせられる。その唯一無二のスタイルと魂を揺さぶる声は、何度聴いても新鮮で、聴く者を魅了し続ける。

2024/5/13 Calling/あらかじめ決められた恋人たちへ

池永正二がソロ・ユニットとして始動させた叙情派エレクトロ・ダブ・ユニット。テルミンと鍵盤ハーモニカの異色組み合わせは、独特な響きと心地よさを創出しており、音楽的センスが際立っているに「calling」においては、ノスタルジックな情感を誘い、過去を彷彿とさせる。各曲が独自の物語を紡ぎ、聴く人の心に深く響く。このアルバムは、雨の日に選んだ一枚として、とても心地よく、その正しさを再認識させるものであった。

2024/5/14 SUNSHOWER/大貫妙子

大貫妙子の2作目アルバム。シティポップブームを背景に再評価されてるらしい。「都会」は、一瞬泰葉のフライディ・チャイナタウンを彷彿とさせる。「その日暮らしはやめて」というフレーズがとても印象的だった。坂本龍一が参加した「振子の山羊」では彼の特徴的なサウンドが顕著に表れている。大貫妙子の音楽を改めて頭か丁寧に聴くのは実は初めてだったけど、繊細でクリアな声質と時代を感じさせるサウンドがすごく新鮮に感じた。アレンジ次第で現代でも通用するポテンシャルの高さが「サイレントスクリーマー」からも伝わってくる。全体的に見て、その音楽性の深さに改めて感動する一枚。

2024/5/15 Masterpeace/Koji Nakamura

中村弘二の2014年リリースアルバム。ちょっと調べて驚いたのは、彼と自分の年齢がほぼ変わらないということ。SUPERCARが1997年デビューだから、一体どれほどの若さだったのだろう……。このアルバムについては、「BOY」という曲が以前から大好きで、その浮遊感あるサウンドと心地よいギターリフは、特別な世界へと誘ってくれる。